BioLOG

( 着飾らずに書く練習 )

Prologue: そもそも皮膚って何ぞや?

X (@miro_bipolar)で告知をしていましたが、今日から私の研究対象である「アトピー性皮膚炎」に関する情報を発信していきたいと思います。

コメント・質問等大歓迎です。コメ欄・X上で気軽にメンションしてください!

 

では早速、プロローグということで、病気の話をする前に「正常な皮膚の構造と機能」について見ていきましょう!

教科書は「あたらしい皮膚科学(第2版、清水宏 著)を参考にしています。

www.derm-hokudai.jp

 

本日のメニュー:

皮膚とは

成人で体重の16%を占める、人体で最大の臓器

外界と生体の境界であるため、

  1. 水分の喪失や透過を防ぐ
  2. 体温を調整する
  3. 微生物・傷害物/化学薬品など多様な刺激から生体を守る
  4. 感覚器(触覚・痛覚・かゆみなど)としての役割を果たす

など、生きていく上で必要不可欠なさまざまな機能をもっている。

 

皮膚の構造

皮膚断面で観察すると、おおまかに表皮・真皮・皮下組織の3層構造をとっている。

表皮

生体表面を覆う層で、大半が角化細胞(ケラチノサイト)で構成されている。

5%程度は色素細胞(メラノサイト)や免疫細胞(Langerhans細胞)も含む。

厚さは約0.2 mm。

表皮はさらに細かく分類すると、下から基底層(1層)・有棘層(5~10層)・顆粒層(2~3層)・角層に分けられる。

生体保護の観点から見ると、角層が最も重要な役割を果たす。

真皮

表皮の下方に存在する構造であり、線維芽細胞、免疫細胞、血管、リンパ管および神経が分布する。

厚さは表皮の約15~40倍=3 mm~8 mm程度。

真皮はさらに細かく分類すると、乳頭層・乳頭下層・網状層に分けられる。

主成分は線維芽細胞が産生する間質成分(細胞外マトリックス=コラーゲンが主)。

免疫細胞としてはマクロファージ・マスト細胞・形質細胞(B細胞)・樹状細胞などが局在しており、炎症状態における免疫反応の場として重要。

皮下組織

真皮の下方にある層のことで、真皮と筋膜との間に挟まれた部位。

厚さは身体の部位や年齢などによって異なる。厚い部位としては乳房やおしり、足の裏など。薄い部位は鼻背やくちびるなど。

主成分は脂肪細胞。

主に中性脂肪を蓄えることで、物理的外力に対するクッションになったり、体温が下がるのを防いだりする。

付属器

皮膚には上記3層構造をとるが、ところどころに毛器官(毛包および毛)・立毛筋・脂腺・汗腺・爪といった付属器が見られる。

 

皮膚の免疫機構

免疫とは、外界から生体内に侵入してくる病原性微生物から生体を防御する、生体にとって最も重要な働きのひとつ。

免疫の三大特徴として「自己非自己の認識」「非自己の排除」「免疫学的記憶」が挙げられる。

主要な細胞としてリンパ球(T細胞・B細胞・自然リンパ球)とミエロイド細胞(マクロファージ・マスト細胞・好酸球・好中球・好塩基球)が挙げられる。

皮膚にのみ見られる細胞としては表皮に局在するLangerhans細胞や真皮樹状細胞が挙げられる。

これら免疫細胞は、B細胞が産生する抗体によって非自己を認識・排除するほか、それぞれの細胞が特異的に産生するサイトカインによって細胞間の情報伝達をおこなっている。

アレルギー反応

免疫系が通常は無害な物質に対しても反応を起こす異常な反応の一種(アトピー性皮膚炎もこのうちの一つ)。

Coombs & GellによってI型〜IV型に分類されている。

I型:マスト細胞が主体で抗原(アレルゲン)投与後5~15分で起こる即時型反応。

II型:抗原抗体反応から補体・細胞傷害性T細胞が作用する、細胞傷害型反応。

III型:抗原抗体複合体が血管・組織に沈着することにより作動する、免疫複合体型反応。

IV型:抗原を認識するT細胞と抗原間の反応による、48時間をピークとする遅延型反応。

アトピー性皮膚炎は主にI型アレルギー反応に分類されるが、慢性湿疹の発症をこの分類で説明することはできない。

 

以上、ざっと皮膚の構造と機能について見てきました。

ご意見・ご質問などはお気軽にどうぞ!

アトピー性皮膚炎研究者のミロでした。次回もお楽しみに。